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2004年10月27日
◎少子高齢化問題が戻らぬ大円安招く?

わが国の人口は、今年か来年をピークに今後は右肩下がりとなると見られる。減少傾向にある出生者数と増加している死亡者数が逆転するためだ。
「国立社会保障・人口問題研究所」の推計によると、こうした人口減の結果、いまから20数年後の2030年に日本の人口は1億1800万人になると言う。つまり、大雑把に言って現在から1000万人の減少となるほか、2050年の人口は9200万人で1億人の大台を割り込む公算が高いとも分析されている。

しかしながら、65歳以上のいわゆる「高齢者」はいまより増加、その一方で、14歳以下の若年人口は逆に減少する見通しだ。まさに、名実ともに高齢化社会が到来すると言ってよい。実際、15歳から64歳までを「生産年齢人口」と呼ぶが、こちらは一歩先んじる格好で1995年をピークにすでに下降期に入っている。
改めて指摘するまでもないだろうが、上記のように人口が減り、若い働き手が少なくなると当然のことながら経済力の低下は避けられない。
そうしたなか、スイスの『IMD』が発表している国際競争力ランキングで、1990年の日本は世界第1位だったが、2000年には同21位、今年はさらに順位を落とし24位となった。
複数エコノミストのあいだでは、前述した国際競争力の低下にも「若年者の人口減」という少子高齢化の影響の一部が早くも顕在化しているなどと言われている。

『IMD』では先々の見通しを出していないが、いまから人口が1000万人の減少となる2030年の国際競争ランキングが現在よりも大きく回復することは予測しにくいだろう。
先行き見込まれる「少子高齢化」に危機感を持っている向きは少なくないものの、即効性のある対策などはそう簡単に出てこないのが現状だ。
いずれにしても、経済ファンダメンタルズに影響を及ぼしかねないということは、言い方を代えれば、為替市場もジワリと影響を受ける可能性がある。
もっとも考えられるのは、「少子高齢化が潜在的な円安要因になる」ことで、たしかに十数年スパンという極めて長い目で見た場合には無視出来ない円安要因と言えそうだ。戻らぬ大円安のトリガーを引く可能性すら秘めている。


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