同じモノを報道しているのに、一見まったく違う内容にみえる−−ということは、ままある。
新聞でいえば、産経と朝日が典型ですけど、実は今日もあまりに両極端な報道をみつけて思わず笑ってしまった。
専門用語になるのか、文章を書く上で、「切り口」という言い方を我々記者はよくするのだが、あれほど「切り口」が両極端になりますかね、しかし・・・・・・。
ちなみに、「ネタ」は、「防衛省が発表した自衛隊機によるスクランブル(緊急発進)」になる。以下で、見て行こう。
まずは、朝日から。 「防衛省は、2015年度上半期の自衛隊機の緊急発進が前年度の同じ時期に比べ、大幅な減少に転じたと発表した」と最初に総括したうえで、「他国の航空機の領空侵犯を未然に防ぐため行う緊急発進は190回減少し、7年ぶりに前年度の同時期に比べて増加傾向がストップした」と続け、そのあとに「しかし、中国機に対しては上半期で24回増えて231回で、過去最多を記録した」−−と付け足しのように書いている。
もちろん、間違ったことは書いていないのだが、これを読んでどう思います? なんとなく、「日本周辺って平和になったのかな?」とか思いません?だって、朝日の書き方だと「スクランブルが“大幅に”減った」のだから。
ところが、面白いことに同じ「左寄り」の毎日では、まったく書き方が違うのだ。産経じゃなくて、「毎日が」というところがこの話のミソですね。
いったいどう書いてあるのか。 いきなり、書き出しで「中国の軍用機が日本の領空を侵犯するおそれがあるとして、自衛隊が行った緊急発進(スクランブル)の回数が上半期で過去最高になった」としたうえで、「防衛省の発表によると、今年の上半期、中国の軍用機に対し自衛隊機が行ったスクランブルの回数は231回で、上半期としては過去最高となった。年々増加傾向にあり、これまでで最多だった去年の上半期よりも24回の増加になる」と書いている。
ちなみに、朝日が書いている「15年度上半期の自衛隊機の緊急発進が大幅な減少に転じた」なんてことは、途中でちょろちょろと書いてあるだけです。
こちらの書き方だとどうですか?恐怖心が煽られませんか? 「中国の脅威を感じる内容」−−だと思ったのは、筆者だけでしょうか?らしからぬ記事だぞ毎日、どうした毎日?(笑)
それにしても、一読した際、一瞬では同じ報道だと、筆者でもわかりませんでしたよ。 読み終えたあと疑問に思い、ツイツイもう一度2紙を読み比べてしまいましたから(苦笑)。
ともかく、両紙とも、決して間違ったことを書いているわけではないので文句を言いにくいですけど、新聞などニュースソースをひとつしか持たないと、知らず知らずのうちに誤った認識を植え付けられてしまうのかも知れませんので、皆さんも是非ともお気を付けください・・・・・・。
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