先日、書いた「採点競技疑惑」のうち、(女子)モーグルについて、今さらだがもう少しだけ書こうと思う。
筆者は前回、「共同通信が採点基準について詳細な解説を報じた」−−と書いたが、実はこれがなかなか「いい加減」な内容だった。
反論がある方は是非ともしていただきたいが、スキーを長年やっており、指導員資格を持っている人間から言わせると、ある意味「噴飯もの」の解説と言える。 少なくともスキーをやったことがないか、専門知識ゼロの人間が書いたことは間違いない。
何故なら、メダルを獲得した3人滑りについて、「スキーのエッジより、ソール(面)を使って(中略)滑り降りた」とし、そうした滑りをやっていなかった上村さんとの点数差がそこに出たと言わんばかりの書き方がされている。
しかし、どう見ても同じことを上村さんもやっていた。
・・・・・・と言うよりも、筆者クラスのゲレンデスキーヤーでも、「ソールを使って滑る(カーヴィングターンをする)」ってことは「常識」なのだ。 上村さんの滑りの質が、筆者などより数段上であることは間違いないし。
確かに、「カーヴィングターンは板を傾けて、エッジを使って滑る」と言われていた時代も、かつてはあった。けれど、それはいわゆるカーヴィングスキーが出始めのころで、もう10年ぐらい前の話。 その後は、「カーヴィングターンは、面を使って滑る。板を上から踏み、板をたわませることによって、結果としてエッジが立ちカーヴィングターンになる」−−という要綱に変わったハズだ。
つまり、共同の書いた「ソールを使った滑り」うんぬんで差が出たとは考えられず、点数とまったく関係のない話になる。
共同の記事をもう少し突っ込みいたいのだが、気になる話がもうひとつあるので、話を移す。
そのもうひとつとは、読売新聞のスポーツ面(10日付)に乗っていた元オリンピック金メダリスト・里谷多英さんの解説の中身になる。
お読みになった、と言う方もいると思うが、そのなかで里谷さんは次のように指摘していた。 「カーニーが第1エア後に犯したターンのミスは、審判からすると大きな減点にならないミスだった」−−。
えっ!?どうして!?ホントの話ですか? あれが減点対象にならないなら、もはや競技ではないと思う。茶番だよ。
ちなみに、里谷さんは「すぐに立て直した」−−的なコメントを追加しているけれど、ジャッジマン的な視点からすると、必ずしもそうはいえない。 最終的には確かに持ち直したけど、筆者がジャッジマンなら大きく減点しますね。致命的に近いミスだったと思います。
里谷さんが本気でそう思っているのか、それとも本当の考えを言うことが出来ないのかわからないけど、ともかく残念な解説でした。
・・・・・・尖閣諸島や従軍慰安婦などの問題もそうだけど、日本って不平や文句をあまり言わないですよね。感情をグッと押し殺す。 確かに、それが美徳なんですけど、以前から書いているように国際的には通用しませんよ、その考え。だから、逆に甘く見られ、そして付け込まれるんです。
筆者は、なぜ上村さんがカーニーの後塵を拝したのかについて、国際スキー連盟に提訴というかジャッジペーパーの詳細開示を求めるぐらいのことをしてもイイと思いますけど・・・・・・。
▲top |