今週の為替市場は、ユーロ反発の継続性ならびにドル安、円安の先行きを見極める展開が見込まれている。いずれにしても、引き続きユーロを中心とした値動きが予想されるなか、ドル/円については今週も狭いレンジ内での一進一退をたどるとの見方が有力か。ただし、ドル/円のボックス(81.80-83.70円)相場はすでに2週間を超えている。日柄的な面に半ば期待感を込めて、そろそろ次の方向性が見出されるとの指摘も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は前記したように2円足らずのレンジ相場がすでに2週間を超えている。82-85円は昨年11-12月にも1ヵ月半ほど揉み合ったレベル。なかなか居心地の良いゾーンであることは確かだろうが、それにしてもという気がしている。 そんな状況を一目均衡表で見ると、本稿執筆時には先行帯の雲(先週末段階82.35-83.25円)のなかに日足が埋没している格好にある。ちなみに一目の先行帯の雲は、下限のレベルそのまま24日に上限が82.50円レベルへとわずかに切り上がり、今週末に向けてほぼ横ばいに推移する。それからすると、先のボックス81.80-83.70円を放れるかという前に、82.35-83.50円という1円強のボックス圏(一目の雲)を上下どちらにしっかりと放れることが出来るのか、その方向性がまずは注視されそうだ。
そうしたなか、今週は材料的に大きく2つの要因を注視している。 ひとつは、米国を中心とした金利動向だろう。ここ最近の相場のテーマが各国の金利にあることは疑いないところ。とくに買い戻しの著しいユーロ高を支援しているひとつの要因は間違いなくドイツ10年債の金利上昇にある。そうしたユーロ高をサポートしてきたドイツの金利高が今週も続くのかどうかを中心に、やや出遅れ感の指摘される英国や米国の金利動向を為替相場とリンクさせ注視している向きも少なくない。 なお、金利を注視という意味でいえば、今週は日本や米国のほかインドやハンガリー、ニュージーランド、マレーシアなどの中銀が政策金利の発表を行う見込みとなっている。先進国だけでなく新興国などを含め、各国の金利ファクターにも一応の注意を要したい。また、突発的に実施される中国の追加利上げへの警戒も怠らないようにしたい。
次に注目されるのは、日米などの政治ファクターで、具体的な材料でいえば日本の場合には週初24日から第177回の通常国会が召集され、冒頭で菅首相の施政方針演説などが実施されるほか、週末にかけて衆参両院で代表質問が実施される見込み。それに対して米国ではオバマ大統領の一般教書演説が予定されているほか、欧州においては通称ダボス会議と言われる世界経済フォーラムの年次総会が26日から30日までの日程で開催される模様だ。参加者などによる発言が波乱を呼ぶ可能性もある。
それ以外に注目されるものを幾つかアトランダムで列挙すると、主要な金融機関はほぼ出揃ったがそれでも引き続き発表される米主要企業の決算内容、1月消費者信頼感指数や10-12月期のGDP速報値など重要なものが少なくない米経済指標発表、2月3日からの旧正月を前にした政策対応など為替需給を含めた駆け込み的な様々な中国ファクター、月末に向けた各種需給要因−−などとなる。(了)
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