今週の為替市場は、ドル全面安ならびにユーロ、豪ドルなど資源国通貨高の継続性を見極める展開となりそうだ。そうしたなか、個人的にもっとも違和感を覚えるのはユーロ高。何故ならアイルランドやスペイン、ギリシャなどに関する不安もくすぶるなかの逆行高をたどっているためだ。テクニカル的にもユーロ/ドルなどは短期的に買われ過ぎの域に達している感は否めず、今週以降に調整と思しき売りに押される可能性は否定出来ない。仮にそうした展開をたどった場合、それがドル/円相場に如何なる影響を及ぼすのか、相場の先行きを考えるうえでひとつのポイントだろうと思う。
テクニカルに見た場合、先週末に掛けてホンのわずかずつだが、連日ドルの安値を更新中。当局による介入警戒感はあるものの、依然として下値リスクが高い状況に変化は見られない。ちなみに、フィボナッチでは年初来安値82.88円を起点とした上げ幅の最後の砦である76.4%押し(83.60円)をすでに割り込んでおり100%押しも視界内へと捉えられている。まずは、先週末に掛けて2度下げ止まっている83.10-15円の攻防が注視されるが、割り込めば年初来安値が名実ともに視界内へと捉えられそうだ。 一方、それに対するレジスタンスは84円前半に位置する一目均衡表の転換線や基準線など。如何せんドルの上値は相当に重いと言わざるを得ない。
そうしたなか、今週は注目材料が目白押し。いずれも甲乙つけがたいが、実はこうした際は市場筋が目移りしてしまい焦点を絞り切れなくなるのか、結果として拍子抜けに終わることも少なくない。とはいえ、以下で3つの要因を取り上げてみたい。
ひとつは、前段でも簡単に触れたユーロや豪ドルなどの行方についてで、間接的にドル/円相場の動きにも影響を及ぼしそうだ。 具体的に注意すべき材料となると、ユーロについてはまず発表される各種の経済指標か。また、ECB理事会ならびにトリシェ総裁の会見(ともに7日)にも一応要注意。それに対して後者は5日のRBA政策金利発表、7日の9月豪雇用統計発表などがマーケットの波乱要因となりうるのかも知れない。
次いで注目されるものは、週末の9月雇用統計をメインとした一連の米経済指標発表であり、また発表された指標を受けた米金融緩和観測の変化観測などにも注意を要したい。同様の観点でいえば、週初5日に実施されるバーナンキFRB議長の講演などにも注意する必要がありそうだ。すでにかなりの部分が織り込まれていると見られるが、それでも米景気について慎重な見通しが示されたり、追加緩和を示唆したりするような発言が出た場合にマーケットはドル売りで反応する可能性も否定できない。
最後3点目の注目材料は、いわゆる政治ファクターでこれは様々なものを含むが、今週は取り敢えずそのなかでも2つの国際会議がとくに要注意。ひとつは4-5日に実施されるASEM首脳会議で、もうひとつは週末に実施されるG7会合とIMF・世銀の年次総会(8-10日)になる。 そうした一連の国際会合で人民元問題が取り沙汰されることはまず間違いないが、それとともに日本の市場介入に対してどういった評価が下されるのかは気になるところ。一部報道によると、G7会合に関連し「日本サイドは市場介入の実施を理解求める見通し」とされるが、それをとくに欧州がスンナリと呑むかどうかは懐疑的。日本政府・財務省による市場介入実施について、欧州などの反対により強い足かせがかかる危険性もないではない。(了) ▲top |