今週の為替市場は、マーケットで根強いリスク回避姿勢がまだ続くのかどうかを見極める1週間となりそうだ。様々な材料を踏まえたうえでドル高、円高の継続性を試される展開が予想されている。
テクニカルに見た場合、ドルと円は同じ方向に動くことが多いためドル/円相場は方向性をハッキリと読みにくい。しかし、ここ最近の形成レンジである88.50-90.00円の上限を先週末にザラ場ベースでは超えてくるなど、わずかながらドル高方向へのリスクが高まりつつある感も否めない。そんなドルの上値メドは、今週を通して91円半ばレベルに位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限か。需給的に見てドルの上値は重そうだが、週間を通した場合にはさらなるドル高の進行に注意をはらいたい。
一方、材料的には基本的に今週も「3点セット」に注目が集まりそうだ。すなわち、「米国の新金融規制案」と「中国の金融引き締め観測」そして「欧州諸国の財政懸念」になる。 しかし、「米国の新金融規制案」については、先週来やや小康状態を保っており今週も関連するイベントなどはうかがえない。基本的には材料視されにくい状況か。それに対して「中国の金融引き締め観測」と「欧州諸国の財政懸念」は今週もマーケットの波乱要因となりかねないのかも知れない。
ちなみに前者である「中国の金融引き締め観測」については、旧正月明けと見られたタイミングが1週間程度前倒しされ、先週末にその旨が発表されている。ただし、株価に与える影響などは今後に持ち越される面があるため、実際の金融引き締めで材料出尽くしとなったのかどうか、目先的にはなんとも判断がつけにくい。株安進行による円高のリスクは、引き続き頭の片隅にでも留めておきたい。
「3点セット」の最後のひとつ「欧州諸国の財政懸念」は、先週11日に実施された臨時のEU首脳会議でギリシャ支援そのものは決定されたが具体的な策は示されず、失望を誘う格好となった。 そうしたなか、今週は15日にユーロ圏財務相会合、16日にEU財務相理事会が予定されている。両会合では、先週の臨時首脳会議で先送りされた具体的な内容について示される予定であり、好感される内容となるのか、それとも失望を誘うものとなるのか、是非とも注目してみたい。
なお、最後にいまひとつだけ付け加えると、今週も大きく2つの意味で需給要因に注意をしている。ひとつは、3月期末をにらんだ決算対策の動きで、もうひとつは中国の旧正月を受けたアジアタイムを主にした流動性の低下観測。後者である流動性の低下などもあり、とくにアジアタイムは激しい上下動を繰り広げる荒っぽい価格変動にも一応要注意。
P.S. 日々のドル/円のストラテジーは「為替一家の華麗なるFX生活」にて。
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