今週の為替市場は、対ポンドを除く円全面安が続くのかどうか、その継続性を見極める展開となりそうだ。一方で、ドルの先安見通しについても基本的には根強い状況だが、様相には若干変化の兆しがうかがえる。
チャートを見ると、ドル/円相場はドルの強いレジスタンスと見られた8月高値97.79円を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しにあたる91.75円を取り敢えず上抜けてきた。ちなみに、そんなドルの次のレジスタンスは、9月21日高値の92円半ば、そして8月高値を起点とした下げ幅の半値戻しにあたる92.90円などとなるだろう。 なお、日足の一目均衡表では先週末に92.20円レベルに位置した一目均衡表の先行帯の雲の下限が抵抗となってきたが、一貫した右肩上がりの展開をたどっており、今週末には91円台前半まで切り下がってくる。一連の過程の中で、雲の下限をNYクローズでしっかりと超えることが出来るのかどうかにも注意したい。
そうした状況を踏まえたうえで今週は注意すべきポイントは大きく2つあり、ひとつは、出口戦略を背景にした各国の金利動向になる。 金融引き締めの先鞭をつけたのはオーストラリアだが、その後アメリカについても有力欧米紙のフィナンシャル・タイムズやウォールストリート・ジャーナルが先週末にかけて「低金利の継続性という議事録の表現を変える可能性がある」などとしており、出口戦略に動く可能性が取りざたはじめた。そうした意味では、アメリカを中心とした要人による関連発言には当然要注意であり、またそれとは別に、今週予定されているNZの政策金利発表や過去最大の1230億ドル規模となるアメリカ国債の入札などにも注意が要したい。
次に注目される要因は、ヨーロッパからの為替相場、とくにユーロ相場に関する発言か。 アルムニア欧州委員から「短期的な対ドルでのユーロの強さは大きなリスクではない」とのコメントが聞かれた反面、スラムコ・スロバキア中銀総裁は「ユーロ高はユーロ圏に問題を引き起こす可能性がある」と発言しており、正反対ともいえる内容だった。別の言い方をすると、ユーロ圏の中でユーロ相場についての見解が一致していないようにも感じられるものの、今週末29日と30日にはEU首脳会議が予定されているということもあり、そのあたりの意見のすり合わせがなされる可能性も否定出来ないように思う。
なお、今週はアメリカを中心に重要な経済指標の発表も少なくないうえ、また金融機関は一巡したがアメリカの企業決算は今週も活発だ。さらに、日本に目を向けると7-9月期の企業決算発表が徐々に始まるほか、月末週ということで月末特有の外貨建て投信の設定など、需給要因にも今週は是非注意をして欲しい。
P.S. 日々のドル/円のストラテジーは「為替一家の華麗なるFX生活」にて。
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