筆者は自称「アウトドア系オタク」−−だ。夏はサッカー、冬はスキーと休日になるといそいそと出掛けてしまうのだが、それでも本は「本格」推理小説を中心に読むことにしている。ちなみに、数えてみたら昨年は一年間で146冊読んでいた。過去10年間で最高だった2006年の150冊には届かなかったけど、それでも2位の記録。マアマアかな。
さて、一年間に読んだ本のなかで、毎年自分自身の「ベスト10」を選んでいる。ここ数年は当コーナーで簡単にご紹介している。恒例ですね。本日は昨年のランキングを取り上げてみたいと思う。 ただし、前述したとおり、読む本のほとんどは「本格」推理小説、そして基本的に文庫本であるという点は含みおきいただきたい(☆印以外はすべて文庫)。
では早速、以下で(タイトル・著者・出版社)。 @『容疑者Xの献身』東野圭吾(文春) A『弥勒の手』我孫子武丸(文春) B『落下する緑』田中啓文(東京創元社) C☆『原因不明社会』海堂尊(講談社) D『扉は閉ざされたまま』石持浅海(祥伝社) E『完全復刻 妖怪馬鹿』京極夏彦ほか(角川) F『モロッコ水晶の謎』有栖川有栖(講談社) G『誰か 〜somebody〜』宮部みゆき(文春) H『極限推理コロシアム』矢野龍王(講談社) I『水滸伝11-19』北方謙三(集英社)
昨年は推理小説のランクインが久しぶりに多かった。ただ、ダントツの@はともかくとして、全体的にはやや小粒な印象。ストーリー的に良くできているというものがランクインしているけれど、トリックなどで飛び抜けているものはなかった。これは@の『容疑者X』についても、そう。 つまり、個人的な「本格馬鹿」からすると、やや不満が残る結果と言えよう。もっとも、矢吹駆シリーズとなる笠井潔さんの『オイディプス症候群』を悩んだ末に、今年に持ち越したからね。そのあたりは自業自得って感もあるけれど。
推理小説以外で印象に残っているのは、取り敢えずCとE、Iの3つ。 また、ランク外では『O型自分の説明書』と小松左京さんと谷甲州さんの合作である『日本沈没・第二部』も楽しかった。以前に書いたことがあるけど、後者は『日本漂流』という仮題が決まっており、構想が出来ているにもかかわらず長きにわたって書かれなかったストーリー。それが時代にそぐわず古びたために、今回一から作り直したという労作だ。自分の専門分野にかかる国際金融や通貨政策に関する内容も含まれており、正直言ってチョッと首をかしげるところもあったけど、まぁ小さな瑕疵ですから。興味のある方は、是非ご一読を。
−−いずれにしても、もう2009年は始まっていますからね。昨年は昨年として、今年も面白い小説を読ませてくれ!期待しているから!
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