当コーナーでは何度も書いているように、筆者は自他ともに認めるミステリー好きだ。それも、「本格」と呼ばれるタイプの古き良き匂いの感じるミステリー小説を、とくに嗜好している。
改めて言うまでもなく、推理小説は「お話」なので、筆者はそのトリックの実現性をまったく問題にしない。 余談になるけれど、筆者イチオシの島田荘司さんの著作について、「非現実的なトリック」や「力ワザ」などという方がいまだにいるようだが、推理小説なんてエンターテイメントなんだから、別にいいんじゃないかと思う。犯人は実は宇宙人でしたとか、ドラえもんでした、とか言ってるわけじゃないんだから。 「“どこでもドア”を使って密室から脱出したのです!」−−とか探偵が言ったら、さすがに筆者も怒りますけどね。
さて「推理小説」の話はともかく、そんな筆者なので現実の猟奇事件というのにもかなり興味がある。あまり良い趣味とは言えないが(苦笑)。 ひとくちに猟奇事件−−と言っても物騒な昨今では幾らも発生している。そんななかでも、筆者のような推理小説マニアの心をくすぐる「事件」といえば、1888年の英国で発生した「切り裂きジャック」事件だろう。
ちなみに、「切り裂きジャック」の正体はいまでも謎。だからいまでもその正体について、推理小説の題材にされることが少なくない。 スグに思いつくものだけでも、前述した島田さんは「切り裂きジャック100年の孤独」、服部まゆみさんは「一八八八 切り裂きジャック」、有栖川有栖さんは「切り裂きジャックを待ちながら」、そして大御所エラリークイーンによる「恐怖の研究」−−などがある。
そんななか、ある報道によると「オーストラリアの科学者がDNA鑑定で切り裂きジャック事件の真犯人を突き止めようと計画している」そうだ。 なんでも、犯人が地元新聞社に送りつけた手紙の切手から唾液のサンプルを採取する計画だという。100年以上前のものでも鑑定は可能だと、豪州の教授は意気込んでいるとか。
う〜ん、非常に興味深いし、楽しい企画だと思いますね。失礼な言い方をすれば「大人の遊び」って感じ。ご当人は大真面目なんだろうけど。ともかく続報を是非楽しみに待ちたいと思う。 ただ、その一方でいつまでも謎にしておいて、って願う心もどこかにある。「真犯人の正体を早く知りたい」「でもやっぱり知りたくない」−−っていう心の葛藤、これが推理小説好きの悲しいサガと言われたら、それまでなんですが(笑)。 ▲top |