今月9日付けの当欄で「記者に必要な要素はなにか」−−という問題提起をした。もちろん、正しいかどうかは判らないが、筆者なりの結論があるので、それを踏まえてのことだ。
すると、読者だと言うありがたい方からメールが届いた。 詳細は記さないが、そのなかに「桶川ストーカー事件についての本をかかれた清水潔さんのような記者に是非なってください」−−などといったコメントがあった。
勉強不足を露呈するようで恐縮なのだが、残念ながら筆者は「清水潔」さんも「桶川ストーカー事件についての本」も知らなかった。それなりに本は読むと自負しているのだが。 ヒョンな拍子に知人の読書家へ尋ねる機会ができた。聞いてみると、当然のように知っているだけでなく「あれは名著だ」と大絶賛。個人的にも興味が出てきたので、さらに聞いてみると昨年4月に新潮社から「桶川ストーカー殺人事件 遺言」として文庫落ちしているという。
そこで、早速筆者も購入し読んでみたのだが「う〜ん」と唸らされるページが少なくなかった。筆者はただでさえ本を読むスピードが早いのだが、その本はさらに速くまさに一気読みをしてしまった。こんな経験は久しぶりのことだ。 「日本JCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞受賞作」であり、知人のように名著だという人が少なくないことは良く判る。そして清水さんがスゴイ記者であるということも。
けれど、実を言うといまひとつ楽しめなかったというか、なんとはなしの居心地の悪さが筆者には残った。それは、清水さんが挙げている対応の悪い警察全国ワースト3のひとつであり、事件が起こった埼玉県(埼玉県警所管)にいまでも在住しているからだ。幸運なことに桶川市(上尾警察管内)ではないのだが・・・。 とは言え、それは読んだ筆者の問題で、書いた清水さんの責任でないことは言うまでもない。
以下は、弊社ウェブサイトで一度書いたことがあるのだが、筆者は基本的に人に本を紹介することを好まないし、逆に人から紹介されることも好まない。何故なら、そこはやはり人それぞれで感性が違うからだ。人に絶賛されて読んだが、少しも楽しめなかったという経験は一度や二度でない。 けれども、その基本を曲げてでも是非とも紹介したい本というものは、一年に何冊かはでてくる。この本は、少し早いが今年上半期の最大の収穫本であったと思う。 ▲top |