数日前に、弊社スタッフの【馬車馬】が「わたし(【鹿の角】)は校正にうるさい」−−と書いた。自分自身、文章が決して上手いとは思っていないし、実際誤字脱字なども少なくない。外部の方に見てもらうと、それこそ「駄目だし」されることも結構ある。
ともあれ、本人にはまったくそんな気はなかったので、ここは一歩引いて素直に謝っておこうと思う。どおりで、赤ペンの減り方が早いと思った(笑)。
まぁ、それはそれとして、金融や為替に関する文章に多く接していると、「首を傾げる表現」に出会うことはそれこそ少なくない。
例えば、先日も「専門紙」と称する某情報を見ていると、「米株が下落したことで円が買い進まれた」−−などと書かれていた。これって、凄く不思議なことだと思いませんか?だれもヘンだと思わないのだろうか?
いや、推測は出来るんだけど。
おそらくは、「米株が下落したことで米ドルが売られ、その対価で円が買われた」−−が表現として正しいのだと思う。そうでないと、意味が通じないし。
同じようなことは、ほかでも多いです。実は。「早朝に発表された日本のGDPが悪化したことで、ドル高に振れた」−−とかね。「GDP悪化」は事実だし、「ドル高」も事実なんだろうけど、それを結ぶ“ミッシングリンク”の部分を示してくれないと意味が判らない。
おそらくは文章量の問題だと思うが、それならそれで「早朝に発表された日本のGDPが悪化したことで、ドル高・円安が進んだ」と書けばよい。
そう考えると、プロを名乗る人たちにも「エセ」は予想以上に多いと言えそうだ。
その昔、読んだエッセイで作家の井上ひさしさんは次のようなことを書いていたと記憶しており、それが今でも自分の書き方の原点・基礎になっている。長くなったが、それを最後にご紹介しておきたい。
「難しいことを難しく」書くのはシロウト。
「難しいことを判り易く」書ければ一人前。
しかし、プロは「難しいことを面白く読めるように」書けなくてはいけない。
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