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2008年08月18日
■「ドル上昇」
ドルが各国通貨に対して上昇しています。アメリカに関して特段の好材料が発生したわけではありませんが、相対的にドルが買い戻されている状態と見えます。
一つには、このところ上昇の一途を辿っていた原油、穀物といった商品相場が大きく売り込まれ、この資金がドルに貯まっていたショートポジションの巻き戻しとして流入している点が上げられます。
原油相場下落は、高値が続いたことによる需要減退にあります。日本においても皆さん実感されていると思われますが、高速道路をはじめとした道路の通行量が激減して都心の道ですら思いの外走りやすくなっています。車を利用してのレジャーも控えられて伊豆や箱根といった観光地では、宿泊客を呼び込むためにガソリン代のキャッシュバックをする旅館や民宿が出ているとの報道もあった程です。
これは、何も日本だけの現象ではなく世界中が燃料消費を抑える動きになっているようで、世界最大の石油消費国アメリカでは、エネルギー省がまとめる石油の需要統計で8月1日までの4週間平均の需要量が前年同期比2.6%減少しているという数字が出ているそうです。
もともと衰えぬ需要観測が相場を押し上げていましたからこの相場の動きもうなずけます。更に、WTIなどの商品相場に対する当局の監視は続いており、押し目を拾えとこれまでのように投機資金が殺到することも難しい状況であり、景気の回復による需要が見込めるまで、この流れを急反転させることは難しいかもしれません。
為替相場においてもこうした資源市場の下落から資源国通貨は弱含み。さらにこれまで強かったユーロでは、トリシェECB総裁の発言にもあるように景気にたいしての先行き不安が台頭。これに追い討ちをかけるようにグルジアでのロシアの軍事介入が発生しており、ユーロの急落は目を見張るものがあります。既に重要なサポートポイントと見られていた200日の移動平均レベルを大きく割り込みすっかり頭の重い展開となっています。
では、さらなるドルの上昇が見込めるかと言えば、やや慎重にならざるをえません。相対的にドルは上昇していますが、アメリカのファンダメンタルズに改善が見られているわけではなく、ドル高が進行しすぎれば別な観点でアメリカ経済の不安要因を増やしてしまいます。
ユーロについても、確かに流れは売りですし、頭も重いですが、既にここまでの下落でユーロのポジションはショートに転じ、かなりそのポジションも積みあがってきていると指摘するレポートも出ています。
夏休み、財布の紐を締めて家で過ごしているのでPC開いてFXで一儲けしてやれ。というのは悪くないですが、あまり突っ込んでドル買いに走るのだけはご注意ください。
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