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2008年08月04日
■「レンジ」

モラルハザードを孕みながらも、サブプライム問題に端を発した金融不安とそれによって停滞が懸念される景気の刺激策が米議会を通過しました。
住宅ローンの借り手に税控除を与え、また返済に困っている借り手には総額で三千億ドルの融資組替え制度を設置。そして、ファニーメイ、フレディマックに対する救済措置。これらを盛り込んだ法案です。

実施はまだ先の話となるし、詳細も不明ではありますが、アメリカは着実に市場安定化のための打つべき手を、時期を逃すことなく打ってきている。と私は感じています。

先週触れました「空売り規制」もそうした政策の一つです。こちらも様々な異論が出てはいますが、第二四半期決算発表を迎えていたこの時期、金融機関にとってはこの上ないサポート材料として働いたことは事実であったろうと思います。SECはこの規制を全上場銘柄に拡げ、さらに大量の売り持ちを抱えるファンドなどに対して持ち高報告義務を課すことも検討中との報道もありました。

景況観悪化の要因とされている原油をはじめとする商品市場では、それによって起きた株価下落→景況観悪化懸念→需要減という連想から上値が重くなり、原油相場は120ドル台まで下落しています。

市場原理のサイクルによる自然回復と当局の積極的な政策とが良い循環作用を見せています。商品市場で起きている自然回復だけでこの流れを作ることは難しかったと思います。当局の政策がその断固たる姿勢を示したからこそ動き出すことが出来た流れだと思います。

では、ここを基点にV字回復となるかといえば話はそれほど簡単ではないでしょう。実体経済は依然として悪材料山積です。手放しでドルにお金を流せはしないでしょう。ドル円が108円で重いのはそうしたことの表れとも言えるでしょう。ただ、底割れの懸念にはかなり確かなスタビライザーが出来てきており心理的不安を加速させるような状態は回避できそうです。

月並みですが、暫くはこのレンジの中をせわしなく行き来する相場が続くということになりそうです。



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