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2008年07月28日
■「原則と例外」

月曜から米証券取引委員会(SEC)が検討していた金融株19銘柄に対する空売り規制が実施されました。SECはこうした規制を全市場にまで拡大適用することも検討しているようです。

自由市場を尊重しているアメリカにあって何故このような規制に踏み切ったのか。SECの監督下にある証券会社をはじめとする金融関連銘柄が怪しげな噂と共に大量に売り込まれ破綻の危機にまで追い詰められる事態となりこれを放置できなくなった。かいつまむとこんなところになると思います。

「なんだ、自分の監督責任を回避するためか」と言われてしまうと、そういう部分も無いとは言えませんが、それは正しい見方ではないと思います。市場全体への影響が余りに甚大であり、放置すれば市場そのものが崩壊しかねない危機と判断したが故の措置と捉えねばならないでしょう。

市場への国家の介入は控え、出来る限りにおいて市場原理に委ねるのが原則ではありますが、原理原則を貫くがために市場を壊しては本末転倒であります。これまでの市場経済もこうした局面を乗り越えて成長してきました。今回も「神の見えざる手」ではないいくつもの政策を打ち続けることで乗り切らねばならない局面に差し掛かっているのだと思います。

最近ふとシンガポールで起きたジャック・リーソン事件のことを思いました。アジア危機に遭遇し、莫大な損失を発生させた事件ですが、かのリーソンも無策で損失を膨らませたわけではなく、ヘッジ取引を必死に進めたわけですが未曾有のクラッシュにヘッジが全く機能せずにさらなる損失を生んでしまったそうです。

今回のサブプライム問題も、その裏では当然ヘッジの取引がなされています。このヘッジが機能しなくなる状態にまで及んでしまえば世界中がリーソンになってしまうかもしれません。
それを食い止めるのはやはり神の手ではなく市場への政策介入なのだろうなと思います。



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