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2008年06月16日
■「金利相場に追随してますが」

先週、2度にわたるバーナンキFRB議長の発言内容は、かなりタカ派的と市場は捉えたようです。国際金融会議での講演ということで市場においても然程重要な発言がなされるとは見ておらず、無防備であったと言う点もインパクトを大きくしたようです。

これを受けてドルは各国通貨に対して買い進められ、週末の雇用統計前には、ドル円は106円台に乗りました。その後の雇用統計の数字、特に失業率が5.5%となった内容に105円絡みまで下落しましたが。

発表前までに106円台を示現していなければもっと大きなドル下落を見ることになっていたかも知れないほど、雇用統計の数字は悪いものでした。実際市場ではバーナンキ発言、さらにはトリシェ発言を受けて利上げを窺うスタンスに完全に舵を切っていました。

先進各国の債券利回りがソレを如実に示していました。金利市場では、既に4月末のFOMCの決議結果(2名の利下げ反対票)あたりからインフレ懸念の高まりへの警戒感に注目点が集まり始め、徐々に利回りの上昇を見ていました。

インフレ対策→利上げによる景気過熱の沈静化処方というのは定石であります。市場がこれを先取りして動くのも間違ってはいないのですが、一部のレポートではこの先取り相場への警戒を謳うものもありました。

実際、あの雇用統計をみて、さほど早期にアメリカが利上げに踏み切れるかと言えば難しい状況と言わざるをえません。欧州に関してもトリシェ発言でにわかに利上げが取り沙汰されましたが、その後トリシェもこの火消しに回ってトーンを弱めています。

日米欧ともに、商品市況の異常な高騰から資源原材料価格の高騰を懸念しています。そしてその一因にこれまでの積極的な流動性供給がある点は間違いなく、利下げ余地が限定的な水準に達している点は正しいと思います。が、彼らの懸念はこの価格高騰による景気の下ぶれリスクと捉えている点であり、景気過熱の鎮静剤たる利上げの処方は現段階ではさしたる効能もなくスタグフレーションのリスクを拡大させてしまう危険が高いでしょう。

先のレポートもこのような視点でありました。してみると今回の金利相場はやや先走り過ぎの気が強く、これを材料にドルが買い進められるとするなら、修正を余儀なくされる場面が出てくるでしょう。



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