TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2008年03月17日
■「負の連鎖ふたたび」
先週の米雇用統計は米景気の後退を確信に変えてしまうような内容でした。2月の非農業部門雇用者数がマイナス6万3千人。1月のリバイスが2万2千人と前月発表の数値を下方修正。頼みの綱だった雇用創出力が1月の雇用統計からおかしくなったわけですが、これが間違いない事実だったとどれ程の楽観主義者でも認めざるを得ない結果です。
市場では、これとは別に大きな動きが出始めました。ここまであまり大きな下げを見せなかった高格付けの住宅ローン担保証券(RMBS)が急落しています。
正に負の連鎖が背景にあります。既に先週いくつかのヘッジファンドが融資を受けている金融機関からの融資返済を迫られているとか、債務不履行となったという記事が飛び出しています。
彼らヘッジファンドはご存知の通り、集めた投資資金を元手により大きな金額の融資を銀行などの金融機関から受けその資金を使って運用を行っています。今回のサブプライム問題から含み損を抱えながら他の資産を切り売りせざるをえない状況が続くという話は既にしました。
結果、資産の目減りは彼らに融資をしている金融機関に融資額減額や引き上げを決断せざるをえない水準を見定めねばならない状況へと追い込みます。
運用に回していた資金を返済に充てねばならない状況となったヘッジファンドはその資金捻出のために市場で売りに動かねばならなくなります。
売りに出る市場参加者は彼らだけに止まりません。融資をしている銀行をはじめとする金融機関も自らの勘定で投資をしており、運用資産を圧縮する動きにでています。
彼らは必要な資金捻出、資産圧縮まで叩き売り続けねばならないわけです。
こうしてまた市場が崩れだしてしまいました。FRBは即座に資金供給拡大の声明を出し、実行しました。信用不安から資金繰り悪化を誘発させてしまっては全てが壊れてしまいますので、とにかくその危機だけは回避しなければなりません。
為替もこの動きを受けて101円40銭から103円25銭まで値を戻す場面も見られました。
さすがに筆者もこれで底打ちとは思っておりません。暫くはドルの下押し圧力が強いものと思います。
Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved