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2008年02月11日
■「時間との戦い」

先週金曜日、2月1日に米雇用統計が発表されました。この雇用統計、市場参加者は、ロイターやブルムバーグといった情報ベンダーのニュース画面で確認するのですが、まずリード部分が矢継ぎ早に流されます。
前月(今回の場合は1月)の非農業部門雇用者数がまず流れるわけです。流れた数値は前月比マイナス1.7万人。この段階で1月に発表された12月の数値の修正値は出てきていませんから、当然驚きます。市場予想もプラスの7万人でしたので尚更でしょう。

実際市場は即座に反応し、ドル円は105円台まで急落。ダウも同様に急落しています。ところが続々と流れてくるデータがその反応の歯止めをかけます。
先月驚かされた非農業部門雇用者数の増減はプラス1.8万人からプラス8.2万人に上方修正。1月の失業率は前月の5%から4.9%へと改善されていたのです。

確かに景気の鈍化は明らかではあるものの、景気後退と言い切れるだけの弱い数字でもまたなかったわけです。
尤もこの状態を放置すれば、家計所得、消費へと波及することは確実であり、いずれ景気後退となることでしょう。しかし、まだそこに足を踏み入るには糊代が残っている状態であったといえます。

この糊代が消えるまで、景気後退回避の可能性は残されています。先月のFRBの2度に及ぶ利下げ、ブッシュ政権が前倒しで発表した景気対策概要と打つべき手はかなり迅速に打たれているとみます。あとは、具体的政策の実現時期とその実効性にかかっています。

金曜の市場は、この雇用統計に絡んだ上下動と共に「モノライン」への不安心理の緩和とマイクロソフトによるヤフー買収報道が好感されて株価はプラス引けとなりました。

依然として楽観はできないものの、必要以上にネガティブな反応にも傾けない状況となりました。法案の審議状況を見極めながら、景気後退入りか回避か。時間とのにらみ合いが暫く続くこととなりそうです。



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