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2007年10月29日
■「先送り観測の強いG7ではありましたが」

注目された週末のG7は、サブプライム問題顕在化以降の世界経済における問題点の列挙と今後この原因と対策について慎重に検討を始めることを声明に盛り込みました。

そこまでの討議はほぼ市場の予想通りでしたが、対策について何らかの指針が出るものとの期待は結果として裏切られた格好となりました。G7の言うとおり、拙速な行動はかえってリスクを拡大する恐れもあります。
G7はこの不安要素を抱えながらも依然として世界経済が力強い基調にある点を強調しており、故にじっくりと問題の検証に当れるのだということを示したかったようです。

しかし、「先送り」の感は否めず、この先の市場が不安を抱えながら進まねばならなくなった点はマイナス点として評価せざるを得ないでしょう。

事実、週明けの為替もドル安の動きを強め、ドル円も一時113円前半まで下落していました。もっとも単なるドル全面安と言うよりも、FRBの利下げ以降やや復活かと見られたキャリートレード分を再度アンワインドする動きと見られ、AUDやNZDなどクロス円の売り圧力がドル円を押し下げた印象があります。

不安を抱えたままではそうそう高いリスクをとり辛いという市場心理の表れだったように思います。

では、今回のG7は失敗だったのかと言うと決してそんなことはなかったと思われます。
むしろ、先のFRBの利下げ以降一部の市場に見られた動きは、安心感以上の反応とも移り、以前にも指摘の通りバブルの助長ひいてはモラルハザードといった新たな問題を噴出させかねない状態とも映りました。

根拠のない楽観主義を戒めるために敢えて市場にネガティブ感を植えつけたとも取れなくはありません。

今の世界経済は非常にスリッピーな路面を摩滅したタイヤで走っているような状態でありこうした微妙なステアリング操作をせざるを得ないのかも知れません。



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