TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2007年10月22日
■「気がつけば8月以前の水準に」

先々週から市場の流れは然程変化をしておりません。商品、証券市場は堅調。為替相場もドル弱含み。通貨によってはサブプライム問題以前の水準を上回って推移し、ドル円がやや膠着を漂わせるなか、資源国通貨対円の相場は上昇しております。

対ドルでの円安はやや是正されたものの、他の通貨での円安はサブプライム以前の水準まで回復、一部にはそれ以上の水準に進行しているものもあります。サブプライム問題による信用収縮を回避すべく各国当局が足並みを揃えて流動性供給に向ったお陰で最悪の事態は回避できたようですが、信用不安が収束したことで元の投資スタンスへと戻っているようです。(もっとも、各国の利下げによって絶対的な金利差は確かに縮小してはいるのですが)

今週末のG7の声明がどの程度この流れに影響を与えることができるかについてはあまり期待していませんが、市場の観測どおり、サブプライム問題への総括とこの円安についてどういった表現がなされるかには注目したいところです。

月曜日には各報道機関がウォールストリートジャーナルの記事を採り上げています。「巨大銀行、金融危機回避で1000臆ドルの基金計画」ご存知のように、今回のサブプライム問題はこれまでの金融危機と性質を異にした新しいタイプの症例といえます。具体化までにはまだ時間を要するでしょうが、新たな対処療法を作り上げようという動きは評価されるものと思われます。

市場では、先のFOMCでの50bpsの利下げを評価すると共に、更なる予防策としての再利下げを見込む向きも出ております。全会一致で決まった利下げから、FRBのサブプライム問題を軽んじてはいなかったことを示しており、この問題の本当の意味での顕在化はこれからである点を思えば再利下げにも理はあるとは思われます。

しかし、既に何度となく言われているようにこの処方箋はモラルハザードと紙一重の位置にあり、先の利下げ以降の株価の堅調地合を思えば、そう安易な再利下げは出来ないのではなかろうかという論に個人的には賛同しております。
上述のように資源国通貨を中心にドル安が進行し、それらの通貨対円での円安も進んでいる中、G7でのこの点での声明や、FOMCの結果は一旦調整へのきっかけとなるかもしれません。



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved