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2007年09月17日
■「驚愕の雇用統計」

先週金曜日の米雇用統計はさすがに驚きを隠せないほどの結果でありました。市場コンセンサス+10万人程度、直前には数万人程度に止まるのでは?などの観測のなか、発表された数字は4年ぶりの前月比減少−4千人。6、7月の数値も共に下方修正されており、この数字を見せられた各市場の驚きはその後の動きに現れています。

不安心理がくすぶる今の市場にこの米雇用統計の結果は充分過ぎるほどのインパクトがあったでしょう。6,7月の下方修正はサブプライム問題が表面化する以前からアメリカの雇用創出力に陰りが出ていたことを示しており、今後は更にサブプライム問題に直結した失業が待っている。こうしたネガティブな連想が支配せざるを得ないような環境になってしまったのです。

こうした中、某証券会社のレポートに興味深い指摘を見つけました。今回の数値はベビーブーマー世代の退職が影響しているのではないか、というものでした。詳細は書けませんが、雇用者数にこれほどの乖離を生みながら失業率に変化がなかった点と、失業保険申請件数との不整合を挙げていました。

無論、今後の統計には確実にサブプライム問題に起因する雇用減が盛り込まれることに変りはないのですが、「サブプライム問題以前から既に雇用創出力に陰りが出始めていた上にこの問題となれば一気にリセッションの危険すらある」といった不安心理の連鎖には一定のブレーキをかけられるものと思われます。

今月のFOMCの焦点が25bpsか50bpsかになった流れに逆らってはいけませんし、不安心理の沈静化が見られない今の市場にあってはFRBとしても相応の思い切った政策を打ち出してとにかく不安の沈静化を図らねばならないものと思われます。

しかし、その結果はドルの暴落ではなく、事態の沈静化にある点だけは留意しておきたいところであります。



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