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2007年08月27日
■「恐怖心が支配する相場の怖さ」

先週の世界市場の動きは負の連鎖そのものでした。サブプライム問題に端を発した信用不安に対し、各国中銀は流動性供給を宣言して、投資家の狼狽売りを沈静化しようとしました。
彼らが売り続ければ、サブプライムとは無関係の投資家達も投資資産の下落から資産売却に動かざるを得ない状況となり各国の市場が売り一色となってしまいます。

一旦は効果をみせたものの、問題のサブプライムローンを組み込んだ商品の相場が立たない状況では、これを資産として抱える投資家の不安までも払拭してはくれません。彼らは自分のファンドで始まるであろう解約資金を捻出する為、どうしても別の資産を取り崩さざるを得ません。

下落し続ける相場は、遂に彼らの運用ルールで売却せざるを得ない水準まで到達し再び売りが売りを呼ぶ相場を復活させてしまいました。

為替市場においてもしかり。木曜のロンドン、ニューヨーク時間に115円を割り込んだ時には、115円までと見て買い支えていた筋も一斉に投売りです。市場に屍が累々と積みあがり金曜の東京市場が開いたときには2、30本程度の売買でプライスが左右に飛びまくるほどに流動性が低下しておりました。

この状況下、金曜のNYでFRBが緊急ミーティングで公定歩合の50ベーシス下げを決定。ニューヨーク市場はもとより、まだ市場の開いていた欧州市場でも相場が回復。為替相場も大きく値を戻しました。

流動性供給という点では、先週来の資金供給と変わらないのですが、中央銀行の今回の信用不安に対する強い姿勢と同時に、この公定歩合での資金調達に際して不動産担保ローンやその証券化商品までも担保となる可能性を表明している点は大きかったと思われます。

部分的ではあるものの上述の値のつかない資産を抱えている投資家の不安を緩和したのではないでしょうか。勿論、完全に不安が払拭されたわけではありませんので、油断は禁物です。が、筆者は週末のテレビ番組で騒がれたような最悪のシナリオに至ることは無いものと楽観しております。



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