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2007年08月20日
■「各国中央銀行の素早い対応に拍手」
先週もサブプライム問題で各市場がジェットコースターのような動きをしました。多くの人がこのサブプライムローン絡みの市場規模を考えれば、何故これほど世界中の市場に影響を与えてしまうのか、当初は不思議に思われていたのではないでしょうか。
既に各方面で解説がなされているように、これを証券化し、その販売先が大手金融機関といった限られた世界に止まらず一般投資家にまで拡大していたことが重要なファクターとなっています。
日本国内にあっても未曾有の(と言ってよいでしょう)投資ブームのなか様々な投資ファンドが設定され、飛ぶように売れています。リスク分散という考え方も広く浸透し、分散投資型のファンドが人気を集めていると聞きます。
この流れ自体、けっして誤ったものではありません。が、これがあまりに一般化しすぎれば市場のポジションが一方向に傾きすぎた状態と同様の効果を生んでしまうリスクもやはり起こりうると言うことでしょう。
世界各国の様々な投資ファンドがリスクアセットとしてサブプライムローンの証券化債券を組み込んだ住宅ローン担保証券(RMBS)を少しずつ組み込みました。個々のファンドに占めるこのRMBSの比率は然程大きくは無かったでしょう。(既に話題となっている幾つかのファンドは相応の高い比率でこれを組み込んでいたのだろうとは思いますが)
現在、このRMBS市場は相場が立たない状況のようです。売れないアセットを抱えてしまうとまずは売れる資産を現金化して解約への対応を考えねばなりません。
結果、この様々なファンドから分散投資していた各国メジャー指数の市場に売りが殺到する格好となってしまったのです。これは投資家の損失回避のある意味自然な行動なのですが、売れないアセットを抱えた(このアセット分での損失が予想すら出来ない)状況では彼らも神経質にならざるを得ませんので、放置しておけばパニックを引き起こします。
この意味でも、先週の各国中央銀行が打った政策とその強い意思表示は妥当なものであったと思われます。
確かに、モラルハザードの問題はついて回ってしまいますが、上記のような状態で世界中の市場に影響が飛び火して大火事になってしまえば、世界経済が大打撃を被ってしまうわけで、まずはナーバスとなった投資家に安心感を与えむやみな投売りを抑えさせるためにもやむをえないものだと思います。
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