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2007年06月11日
■「皆が同じ方向を向きすぎている?」
先週金曜日に発表された米雇用統計の数字が強かったこともありドル円は122円台に突入しました。しかしドル円以上にクロス円の上昇が印象的でした。カナダ円は115円台、AUD円は101円台。それこそ私がこの世界に入る前以来の円安水準に達してしまいました。
中国では証券取引印紙税の引き上げが発表され、これを受けた上海株式市場は下落。2月の株価調整を誰もが連想しました。事実その日のニューヨーク株式市場も下げて始まりましたが、引けでは高値更新。週末の雇用統計もあり株価は以前上昇基調を維持しました。
2月の株価調整は確かに大きかったものの、その後は高値更新を続けており、世界の資金を集めている新興市場→代表格の中国市場の下落→資金回帰による為替相場の調整といった連想が存外小さかったこと。
中国A株市場は確かに急成長していますが、市場の閉鎖性から世界市場への波及効果が実際には限定的であるということの学習効果だったように思います。
為替市場、特にクロス円では長期為替オプションのノックアウトレベルまで円安が進行したことによって新たなオプションを作り直さねばならない向き(というより作らせようとセールスする銀行)も出始めており、あまりに一方的な動きではあるものの円買戻しの動きになりにくい環境が別途発生しているようです。
円金利は夏以降の金利を織り込み上昇しているものの、世界の長期金利も上昇しており金利差縮小にはいたっていません。
こんな水準でありながら円の買い戻し材料が殆ど見当たらず、政治介入の切り札(大袈裟ですが)今週末開催のサミットもテーマは環境問題となっており、為替に割かれる時間は無いものと見られています。
では、この円安はこの10年、15年ぶりの水準を足がかりにもう一段上を目指していくのでしょうか、これを否定する十分な材料は確かにありません。ただ市場のセンチメントがあまりにも円安安心感に傾きすぎている点には留意しておきたいところです。
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