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2007年05月28日
■「タイ王国訪問紀」
先日、取材でタイに行ってきました。90年代半ばに私がエマージング通貨担当のディーラー(というと格好はいいですが、要はアシスタントからようやくディーラーとなったほっかほっかのジュニアだったということです)だった頃、タイのバーツクラッシュからアジア通貨危機が始まりました。個人的には記憶に残っているエマージング通貨ですし、以前訪れた上海と比べてどんな感じなのか興味津々での渡航となりました。(誰ですか?そこで「別の興味津々なんじゃないの?」なんて思っている人は!!!)
折しも昨年12月クーデターが勃発し、日本国外務省からも要注意の渡航先となっている国ではありますが、昨今のエマージング市場の成長の一端を担う国でもあり、BRICSより先に投資先として注目を集めていたこの国は中国以上の何かを感じられるのではないかと思っていましたが、想像に反して遅れていました。
思えば、上海は戦前から欧米列強の租界をもつ、当時アジアの最先端を走っていた都市であったわけですから、比較対象のハードルがあまりに高かったようです。
空港からバンコク市内に向かう車のなかから見る景色はバラック群とテナントの入らない廃墟のようなビル群。勿論なかにはきらびやかな高層ビルも散見されるのですが、それ以上に前者の光景の印象が強かったです。
この国はご存知の通りアジアにあって独立を守り続けた数少ない国家であり、また現在にあっても国王の権威に揺るぎのない点においても数少ない国家であります。
戦後幾度となくクーデターを繰り返しながら、最後には国王の仲裁によって事態が収束してしまう。まるで某ゲームソフトを実践しているようであります。
通常、クーデターなどが起これば、国家は無政府状態となるわけで、そうそう継続的な発展など望むべくもなく、まして海外から投資資金など集まろうはずもないわけですが、この国の特殊性がそれを減じてきました。
前政権であるタクシン政権は昨年のクーデターで倒れてしまいましたが、タクシン政権の政策がアジア危機からの早期脱却を実現させたのは紛れもない事実であり、バンコク市内の高速道路網、地下鉄網はまさにタクシン政権による実績と言えます。
前述のバンコク市内の印象は、まさに現在進行形のインフラ整備のプロセスであり、アジア危機と政権交代の影響が筆者の想像以上に都市の発展にブレーキをかけていたようです。
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