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2007年01月29日
■「日本売りの元凶は内にあり」
先週は珍しく日本の金融政策に振り回された一週間でした。金融政策決定会合が始まる前から外野が激しいリーク合戦。
某新聞が「日銀利上げへ」とぶち上げると、週末には政府筋から脅迫まがいの牽制発言。彼らがあそこまで噛み付くのだから日銀は本気なのだろうと筆者も当初の予想を引っ込めたのですが、先週の記事を書いた翌日には「日銀据え置きで固まる」の報道。
自分に「しまった」と思う前に、「(日本の金融政策メカニズムへの信頼感にとって)これまずいじゃない?」と感じてしまったのは筆者だけではないはずです。
実際、各国メディアの論評は冷ややかなものでした。
市場の反応もこれに倣い、ドル円では4年ぶり、ポンド円で8年ぶり、ユーロ円は史上最安値と円売りが前進してしまった。コレは金利据え置きによる金利相場ではなく明らかに日本への信任低下がもたらした動きと考えています。
本来、一国の金融政策がここまでリークされてしまうことが問題なのです。FOMCにしてもECBにしてもメディアが金利操作に関しての事前予想を報道することはあっても、中銀サイドの情報によってこれを報道することはあってはならないことであるはずなのです。
明らかに今回の一連の報道はリークがあったからなされたものと言わざるを得ません。故に決定会合の内情を知り得る限られた者の中にモラルを欠く者が居たわけで、まずはこの者(あるいは者達)が問題視されねばなりません。
次に、この情報をためらう事無く報道してしまったメディアにも大きな問題があると思います。見方によれば必死の取材が実を結んだとも取れますが、結果は国家の信頼を損ねるものであり全くもって公共性の無いデバガメ報道であったと言えます。
スクープの甘い言葉と商業主義がメディア本来の社会性を上回った結果が先週の恥ずべきドタバタ劇を作り上げたといえるのではないでしょうか。
以前もこの決定会合に関する報道の在り方に異議を唱えましたが、メディアの姿勢は変るどころかさらにエスカレートしており、ただただ嘆かわしい限りであります。
先週の結果で得をしたものは誰もいなかったということを関係者はもう一度考え直していただきたいと思います。
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