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2007年01月22日
■「やらないとまずいでしょう」

日銀の金利操作が注目を集めています。当初、筆者は今月の利上げは無いものと考えていました。確かに現在の日本の低金利は異常な状態であり、出来るだけ早い時期にニュートラルな水準まで引き上げる必要があります。既に欧米では利上げを繰り返しアメリカはほぼ頭打ちの水準まで来ています。欧州にはまだ引き上げの余力がありますが糊代はさほど残っているとは思えません。

もたもたしていると欧米が景気減速期を迎え、世界的な流れとなれば日本は金利正常化の時機を逸してしまう可能性もゼロではありません。また世界的な利下げモードとなったとき日本だけが緩やかながらも利上げをすれば、金利差縮小が加速され資金移動に加速がつきすぎて大きな波乱要因となるやも知れません。

さりとて現状の日本に利上げをするだけの資金需要があるのかといえばこれも甚だ疑問であり、それゆえに12月の利上げは見送られたものと考えております。わずか0.25%の金利操作が非常にこの先を左右する状況にあると思います。こうした時、先に動いたほうが不利という兵法の定石を思えば、筆者はもう1月待っても遅くは無いと考えていたわけです。

しかし、状況が待つことを許さない方へと流れています。政府筋からの利上げ牽制発言がぼこぼこと飛び出し、周囲の認識は日銀の利上げが前提となった上での綱引きとなってしまいました。この状況でもしも日銀が利上げを見送れば一体どうなるでしょうか?例え日銀が当初より利上げの時機を議論するだけに留めるつもりであったとしても「ああ、政府に押し切られたな」との印象が残り、ひいては中央銀行の独立性に対する信任さえ揺らいでしまいかねません。

政府筋がどんな思惑でここに来て声高に利上げ反対を叫んでいるのか。その真相は判りませんが、本当に今月の利上げが景気に悪影響だと考えているなら、その悪手を打たせてしまうのは他ならぬ政府筋ということになるでしょう。

結果として逆に日銀は利上げに動きやすくなったように感じます。実際、今回0.25%の引き上げがFRBのような断続的な利上げの始まりを意味する訳ではないことは市場も消化しています。
冒頭に書いた低金利維持のリスクをも緩和出来、一石二鳥の地合いとなったかもしれません。



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