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2006年10月30日
■「上値ブレイク失敗でした」

先週のドル円は120円を前に頭打ちとなっていた中、ロシア中銀が外貨準備における円の比率を上げると表明したことにより、円買い戻しの動きが始まり、一時118円05銭まで下落しました。

これまで、その低金利水準から各国の外貨準備における円の比率は低水準で推移しており、ロシアにおいてもほぼゼロに近い水準でありました。

ゼロ金利解除、利上げと金利上昇局面に入りつつある事は認識しながら、また財政赤字の増加に歯止めがかかりゆっくりとではあるが好循環が始まっているとの認識もあったと思いますが、それでも市場は、その改善速度の鈍さ故に円買いに積極的にはなれなかったと思います。そうした中、このロシアの動きは小さいながらも各国への波及効果を思えば、無視できないトピックスと映ったのでしょう。

福井日銀総裁の発言もあり、大きく後退していた年内再利上げの芽も復活し、円金利も反転しております。しかし、ドル円の下げは118円割れには至らず、月曜日の東京市場も118円後半での狭いレンジ取引に終始しました。

やはり、円金利の劇的上昇を見込めるわけでもなく、依然絶対水準としての低金利はキャリートレードとしての需要も根強いようです。

奇しくも日経の月曜版「春秋」と「経済教室」で数字と実態の乖離を危惧する内容の記事が書かれていました。特に「経済教室」の内容は、市場が円の買い戻しに一気に転じられない大きな要因のひとつとして興味深いものでした。

残念ながら、ドル円相場が上昇に向けての動きを早めていくであろうという予想は一旦引っ込めざるを得ません。今週はFOMC、日本ではCPIの発表と注目のイベントを控えていますが、しばらく狭いレンジの取引を抜け出ることは難しそうです。

ややサプライズとなるとすれば、FOMCの再利上げ、日本のCPIの予想を下回る数字ということでリスクはいずれもドル上昇方向なのではないかと思われます。



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