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2006年10月02日
■「タイのクーデター」

先週、タイでクーデターが起きたことは皆さんもご存知かと思います。クーデターは当事国の政変であり、もしこれが成功してしまえば既存政権下で保障されていた経済活動もその限りではなくなります。当然ながら当該国の株式、債券に投資しているものにとっては自分の資産が紙くずになってしまうかもしれないこれ以上ない危機です。

現段階においてもタイはこの混乱の最中であります。普通の国なら戒厳令下にあり国内市場は閉鎖。為替市場はバーツが大暴落となるでしょう。ところがこの国はクーデターの翌日こそ国内市場が閉鎖されたものの、その翌日からは取引が再開され、一時的に各市場とも下落したものの大暴落には至りませんでした。

タイは1932年に絶対君主制から立憲君主制に移行して以来これまでに17回の軍事クーデターが成功しています。直近では1991年にそれがありました。わずか4半世紀の間に17回ものクーデターがあるような政情不安定な国家に普通なら投資資金など流れてこないでしょう。
ところがタイは今年四月からタクシン政権への不信に端を発した暫定政権下にありながら今年最も良好なパフォーマンスを残しているアジア通貨のひとつです。

その鍵はプミポン国王の存在であります。この国王への国民の信頼は絶大であり、これまでのクーデターも国王の承認を受けることによって国民の支持を得ることで成功してきました。
今回の首謀者ソンティ陸軍司令官もタクシン政権が国王の統治を侵害していると訴え、プミポン国王も早々にソンティを暫定政権の首相として承認しています。

暫定政権は2週間以内に新たな暫定政権を発足させ速やかな民主主義体制への移行を約束しており、この2週間は非常に重要となってきますが、国王の承認を得ていることから、反対勢力の巻き返しはおそらく民衆の支持を集めるのは困難と思われ、限定的なものに止まるでしょう。

「信長の野望」というゲームをご存知でしょうか?この戦国シミュレーションゲームでは、朝廷からの勅命が届くと戦闘状態にあった大名家が停戦させられるというルールが存在します。
タイ国王のご威光はまさに「信長の野望」の朝廷のようであります。

タイ国王の人徳に敬意を表すると共に君主とはかくあるべしと思わされました。



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