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2006年09月25日
■「円安は進んでいますが・・・」
G7において、アジア通貨高を求める文言が削除されていたことを受けてドル円は強含みの展開となっております。
4月のG7の声明を受けて円高に大きく動いたことから市場でドル円の上昇に一定の警戒感が出ていたのは確かであり、積みあがった円のショートポジションを調整する動きはイベント前としては妥当な動きであったと思われます。
しかし、G7において敢えてアジア通貨高を求める文言が盛り込まれた背景には、貿易不均衡の裏にあった為替介入への問題提起があったと思われます。貿易収支において黒字となった国には、これを自国通貨に転じる需要と、その国の経済成長から相対的に通貨が買われ易い環境となり貿易関係国間の通貨レートは徐々に黒字国通貨が強含むこととなります。
実際には、投機的な資金等がこの動きに拍車をかけ、また当該通過ペアの流動性の問題もあって、市場の動きを放置することがかえって世界経済全体に影を落としてしまう危険すら孕んでしまいます。
この原則と例外とのバランスが重要であり、4月の段階では特に人民元に関してこのバランスが例外の方に偏りすぎていると判断されたものと思われます。
今回のG7においては、確かに中国の通貨制度改革の更なる促進を促したいことは確かですが、では4月時点と比較して中国当局の行動や人民元相場の動向に変化が全く無かったのかといえばそれなりの変化を認めざるを得ません。
その意味でも今回の文言削除はされるべくしてなされたものと思います。週末のイベントリスク回避のためにある程度の調整はしたものの円に関して根っこのショートポジションまで解消する動きには至っていませんので、この影響から更なる円売りへと加速していく程の材料にはならないものと思います。
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