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2006年07月31日
■「戦争も手仕舞いはきちんとしないと大変」

ここにきて、またぞろ「地政学的リスク」がフォーカスされています。それもそのはずです、パレスチナ武装勢力がイスラエル軍を襲撃し、その報復にイスラエルがガザ地区に攻撃を開始、アジアでは北朝鮮がミサイルを発射、ヒズボラがイスラエル兵を拉致し、イスラエル軍がレバノンを爆撃と続いたのですから。

日本では北朝鮮問題が圧倒的に注目されており、前後に起きた中東問題への意識が低いですが、人の居る場所に実弾を積んだミサイルを飛ばしているわけですからその緊張は圧倒的に中東のほうが高いわけでして世界と日本で明確な温度差が生じています。
地理的な要因もありますし、戦後ずっと緊張関係が続きちょくちょくドンパチが起きている中東と、朝鮮戦争以後穏やかであった極東という比較もあるわけでこの温度差も致し方ない部分もありますが。

この中東情勢は、湾岸戦争の時のようにある種の決着をつけ、これからの10年を見ることを困難にしてしまいそうで怖いです。これは9.11が起きたときからある程度は想定されていたことではあるのですが、ここでアラブの反イスラエル感情を強めると未だ沈静化していない反米感情にも飛び火してずるずると引きずってしまうことになるかもしれません。

「テロとの戦い」を掲げた時点でわかっていたことではありますが、相手は非国家組織へと変化しており、おそらくゲリラ的な局地紛争が各所でパラパラと断続的に勃発する。これを各個鎮圧することは非戦闘員との戦いを意味しており大目標である中東の民主化の出口が見えにくくなります。
多くの戦力を依然としてイラクに置いている状況と、支持率の低下している大統領の下で、別途戦力を他の地域に振り向けることはいかにアメリカといえども難しい。
なにより戦費の垂れ流しが延々と続くことは世界経済にとっても大打撃でしょう。

パウエル元国務長官が戦争は終結のシナリオが描けなければ始めてはいけないという趣旨の発言をしていましたが、かなり重くのしかかってくるかもしれません。

この状況すらもアメリカにとっては「想定の範囲内」なのかもしれませんが、願わくはそうであって欲しいと思う今日この頃です。



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