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2006年05月15日
■「止まらないドル売り、悲鳴を上げているのは・・・・・」

先週金曜日発表された米雇用統計の数字を受けてドルはさらに売り込まれ、この流れを受けて月曜日GW明けの東京でもドルは弱含み。朝方のシドニーのドル円は金曜のNYクローズの水準から約40銭低い水準で始まりまたもや窓を開けてしまいました。

111円台では節目、節目にショートポジションの利食いもあり、一気に下げはしないものの戻りらしい戻りも無くCTA筋をはじめとした海外勢のドル売りに昨年の安値、高値の半値戻しレベルとして注目されていた111円50銭レベルも割り込み111円割れを伺うところまで来ました。

とにかく持ち合いを下離れたことで市場はドルに対してネガティブな材料には過敏に反応しています。今日も再び窓を開けてしまいこれを埋めることが出来ないまま、チャートポイントをもブレイクしてしまいました。放っておくと振り子が振り切れるまで戻らないように加速度的にドルは値崩れしてしまうかもしれません。もし、今の水準がまだ振り切れる途中であるとするならば。

このドルの下落はご存知のとおり、G7の声明がきっかけでした。アメリカが累積される経常赤字を問題視し、世界的不均衡の是正を打ち出しました。プラザ合意を思い、ドル安に走る市場の動きは素直です。しかし、アメリカは本当にこの状況を望んであのG7声明を演出したのでしょうか?前回、前々回にも触れましたが自国の赤字を海外資本の流入でファイナンスしているアメリカにとって資本の流出を意味するドル安は本来致命的な結果をもたらす危険を孕んでいます。

そもそもG7声明は中国をはじめとしたアジア、エマージング諸国へのけん制が目的であって自国通貨安を狙ったものではなかったものと思います。バーナンキ議長の先週の議会証言はこのことを如実に示していたといえます。ただ、市場が誤っていたのではなくアメリカ当局が市場にたいして説明不足であったのでしょう。

アメリカも高い授業料を払うことにはなるでしょうが、一方で市場もそう遠くない段階でこの熱狂から醒めることになるだろうとやはり思っています。



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