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2006年05月01日
■「赤字って問題になるのですか」

G7声明を受けた形で、シドニーオープン(正確にはその前ですが)と同時にドル円は大幅下落、116円割れにあったシステム系のS/Lをヒットし、マーケットの薄さも手伝って一時115.10まで下げた模様です。

東京勢が入ってくるとクロス円の買い、輸入の買いが活発に出始め、値を戻したものの、先週末の水準には遠く及ばず。この動きドル円だけにとどまらず、アジア各通貨にも波及しています。

世界的不均衡是正に向けて、G7各国に課題を提起しながら、それは今までも取り組まれてきているが尚一層の努力という形に落ち着けて、一方で“In emerging Asia, particularly China”とアジア新興国とりわけ中国をクローズアップし、これらの国の内需拡大と為替相場の柔軟性を重要課題としていました。

何のことはありません、85年のプラザ合意と同じスキームを持ち出そうという意図がプンプンと臭ってきます。だから市場もドル売りに動いたのでしょう。
この声明を受けての市場の動きにはある程度納得しますが、政策的にこの声明の目指すものに関してはやや異論があります。

この世界的不均衡といわれる問題の根にアメリカの巨額の対外収支赤字があります。大雑把にはこの赤字負担をシェアしてくれというのがプラザ合意であったということもできます。しかし、この政策の評価は未だ定まっておりません。奇しくも今月、日経新聞「私の履歴書」を宮沢喜一元首相が執筆されておりこの点にも触れていました。果たして未だ評価の定まらない政策を再度実行して良いものなのか。

暴言を覚悟で言えば、パックスアメリカーナの世界構造の中にあって、基軸通貨ドルを持つ国は世界の富を集約できるかわりに、各国が過剰生産した財を積極的に消費する義務をも持っているといえます。その意味においてアメリカの対外収支赤字を問題にすること自体ナンセンスではないでしょうか?富の集約機能として、各国が得た黒字を米債に投じ、このアメリカの赤字をファイナンスできる限りにおいては全く正常な姿のような気さえします。生産性の向上、資本主義経済圏の拡大を思えば、アメリカの赤字の増大もまたうなずけると思います。確かに自転車操業的な行動は「血を吐きながら続けるマラソン」ではあり、止ったらおしまいです。

ただ、資本主義社会ってもともとそういう性格を持った社会なのではないでしょうか。



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