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2006年02月13日
■「雇用の改善」

先週、日本とアメリカの雇用統計が発表されました。日本の12月有効求人倍率は13年ぶりに1倍を回復。完全失業率も4.4%と前月比0.2ポイント低下した。
一方のアメリカの1月失業率は4.7%と前月比やはり0.2ポイント低下。非農業部門就業者数は19.3万人増。市場コンセンサスは23万人であったが11月12月の数値が上方修正されたことで予想比マイナスへの反応を消し去ってしまいました。

両国ともに景気のバロメータである雇用創出力の強さを数字が示しています。デフレスパイラルに悩み続けていた数年前の日本を思えば数字的には隔世の感がありますが、あの頃竹中大臣が言っていた雇用のミスマッチや、非正規雇用社員増からくる所得格差拡大の傾向は改善されるのでしょうか。どうも否ということになりそうです。

中国やインドといった人口大国への生産ラインのシフトの流れは最早止められないでしょう。戦後高度経済成長を支えてきた生産現場での爆発的雇用ニーズは期待できません。また国内にそのニーズが残っていたとしても、コストの低いこうした海外からの製品との価格競争から労働コストはやはり低く抑えられざるを得ないのではないでしょうか。一方でプラスαの付加価値を生み出す能力へのニーズは高まり、そうした人材への需要増から彼らの賃金は徐々に上がっていくことになりそうです。結果として国内の雇用のミスマッチと所得格差は徐々に拡大していくことになるでしょう。

コレは何も日本国内だけの現象であり、政策の不備から来る問題ではなく、資本主義の原理原則に乗った世界的な流れでもあるようです。全国民の幸福追求は国家の最重要項目ではありますが、故に結果の平等を求めることは自由主義社会と相反する動きであるわけです。
今年最初の本欄でも触れましたが、一億総中流化意識からは早々に脱却しなければなりません。

バブル最盛期に社会人となった私が、あの当時どの程度の意識を持って就職活動をしていたかを問われれば偉そうなことは言えた義理ではないのですが、これから就職活動を迎える学生さん達、景気が上向いたといってノンビリとは構えていられそうもないですよ。



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