TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2006年01月23日
■「今年も中国元には注目」

昨年、FRBの継続的な利上げと、原油高騰、カトリーナといったダメージを克服した力強い成長が後押しをして、ドルはほぼ各通貨に対して上昇しました。
特にユーロは域内の不安要素も相まってグローバル投資戦略でのウェートが下がり、(それまでユーロへのウェートを拡大していたこともあり)大きく売り込まれることとなりました。
さらに基軸通貨国のパフォーマンスが良好であることから、あえてエマージング市場への投資比率を上げる必要性も薄くこれらの市場への投資比率も抑えられてきました。

しかし年が改まり、米国の金利引き上げが一旦終わりを迎えようとしているなか、ここまでの投資比率の見直しの動きが出始めています。アジアでは韓国ウォン、台湾ドル、タイバーツといった通貨が上昇し、中国元も昨年末来、日々対ドルでの高値を更新し続けています。
ユーロも底打ち観が出てきており、反転しています。

さて、ここで普通ならドル円の115円割れを取り上げるところでしょうが、今日は中国元のお話。今年も中国元には注目が集まりそうです。

7月に中国元改革の第一弾が打ち出され、アメリカもこの動きを歓迎、その後のレート推移には不満を示しながらも「為替操作国」への認定は見送りました。
対ドルでの変動は確かに小さなものではありましたが、前述のようにドル高で推移した昨年は、相対的に12%弱程中国元は上昇しているようです。

以前も書きましたが、中国全土で考えれば市場が求めているような急激な中国元の上昇は到底耐え切れるものではありません。またそれによって米国の貿易赤字が急速に改善することもなく、逆に中国の景気減速は世界的に見て誰も望まないところです。

さりとて、昨年はドル高が中国元の小幅な上昇を許容してきましたが、今年は上述のような背景もあって中国サイドに切り上げへののりしろが出てきそうです。
年内早いうちにも中国の外貨準備高は日本を抜いて世界一となることが確実となっており(このこと自体を中国当局は歓迎していません)、この点でも中国としてはもう一段の切り上げまたはそれに準じた一手を打たざるを得ないでしょう。

先週も外為取引の制度改正を行いました。グローバルな為替取引から見ればまだまだ遅れた制度ではあるものの、徐々にインフラを整備し、変動相場制移行を見据えた改革を進めることでしょう。この動きが成功裏に終わるなら、もしかすると中国は世界でもっともスムーズな変動相場制への移行を成し遂げるかもしれません。



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved