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2005年12月19日
■「日銀対政府?」

日銀が量的緩和を解除するタイミングを計り始め、福井総裁はじめ理事の面々が機会あるごとにこれを匂わせる発言をしています。これに対して政府はこうした動きを牽制するコメントを出しています。

ニュースはこの謎解きを莫大な国の借金(赤字国債)返済負担の軽減が目的といっています。さらに、福井総裁の国会答弁にあったこの異常金利措置の間に国民が失った利息額を取りあげて批判しています。

こうした報道はやや的外れの部分が多いように思います。第一に日銀サイドの主張は量的緩和の解除であってゼロ金利解除ではありません。日銀とて利上げに踏み切るのはまだまだ先の話と考えているのです。世界がアメリカの利上げに追随する形をとっていることからイメージ的に利上げを連想するのはある程度やむを得ない部分もありますが、報道の与えている印象は明らかに間違っているように思います。

第二に、確かにこの長きにわたる低金利は国家財政の赤字増加を抑える役目を果たしています。また日銀による国債の引き受けによって財政はかなり助けられてもいました。しかし株価が示すように日本の景気は確かに上昇基調に入り始めています。即ち税収の増加をもたらし国債の乱発にはなんとか歯止めがかけられそうな状況にはなっています。国債の増発を食い止めることが出来るならこれ以上異常な日銀による国債引受は早々に解除すべきではないでしょうか。増発が食い止められればあとは既存の借金の返済に向けられますし、ゼロ金利状態であるなら赤字の膨張も抑えられるわけです。

政府の思惑が単に低金利下をさらに長引かせることで金利負担を抑えようということにあるとするならそれはゼロ金利が解除されようとする時に初めて説得力を持つものと思われます。
おそらく政府の牽制は先に述べた日銀発言の国民に与える印象がデフォルメされすぎないようにとの配慮なのではないでしょうか。

現在の量的緩和状態を徒に長期化させ、解除のタイミングを見誤ればとてつもないハイパーインフレに襲われてしまうという点を忘れないようにしなければいけないと思います。

福井総裁のコメントにもあるように、おそらく日銀と政府の考え方にはいわれるほどの乖離はないものと思っています。



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