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2005年12月12日
■「個人マネーの流出も構造改革に一役?」

先週は、証券ネームのNZD/JPYの買いが妙に良く聞こえてきました。ニュージーランド当局筋は以前「いつ急落してもおかしくない」といった発言を繰り返しNZDの上昇をけん制していましたが、日本国内にあってはどこ吹く風といった感じのようです。

個人マネーの底力をこれほど感じるとは。要因は以前にも書きましたが、国内にあっては日本の低金利が海外の高金利への志向を誘発し、私たちのような外為証拠金取引を始める人が急増したこと。また、投資信託の銀行窓販もこうした志向の受け皿となっているようです。

一昔前なら、海外の高金利に目を向けても為替の手数料と金利裁定を考えれば海外への投資を個人で行うことは決して有効とは言い難いものでした。投資信託も窓口、品数ともに限られておりこれまた一般的ではありませんでした。そもそも、私たち個人がこうしたリスク商品に目を向けることすらなかったわけですから、隔世の感があります。

言わずもがなですが、日本は輸出超過の国であります。黙っていても国内の実需ベースだけなら円買いニーズの方が圧倒的に多いわけで、敢えて乱暴な言い方をすればこのバランスを修正するために当局のドル買い介入は一役買っていたと言えます。

これまでなかなか海外に流れなかった個人マネーがこうして運用先を求めて自発的に海外に向けられるのなら以前のような大規模介入は次第になくなっていくかも知れません。これもまた官から民への移行ではないでしょうか。

国民の血税でアメリカの国債を買い捲ってアメリカ助けている暇があったらその分を国内に回せといった論もよく聞かれますが、これまでは民の資金が本来市場で果たさねばならなかった役割を官が代わりに果たしていたともいえるわけでして、決して的を射た論ではなかったように思われます。まあ、今の流れが定着すればこうした論も姿を消すことでしょう。

もちろん、円の安値を追いまくって売り続ければ損失を被ることもあるでしょう。しかし、そうした経験の蓄積が徐々に円相場のスタビライザーとしての大きな力となっていくことを期待したいと思います。



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