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2005年08月08日
■「人民元切り上げ」

中国が遂に人民元の切り上げを実施しました。ロンドンで再び爆破事件が発生したこともあってか、ドル円相場は一時的に109円台を覗くところまで下落しました。

当初市場が考えていた切り上げ率からすれば、失望感すらあってもおかしくないはずなのですが、完全フロート制への小さいながらも大きな一歩を踏み出した事実と、ややタイイミングを外された点で動いたように思います。

既に多くのレポートで書かれているように、「外圧には屈しない」と言いながらも今回の決断は明らかにアメリカを睨んだものであるといえます。

このまま、国内経済への影響に怯えて動かずにいれば、「為替操作国」のレッテルを貼られてしまう。これだけはなんとしても避けたい。しかし、アメリカが望むような10%からの切り上げでは国内が堪らない。

今回の切り上げは国内経済にもさほどの打撃を与えることなく、「動いた」という事実を示した妙案といえるでしょう。
さらに、通貨バスケットを基準とする管理フロート制とし、変動幅を設けることで、依然として人民元という通貨は中国当局の管理下に置かれている。完全変動相場制への移行プロセスとして多くの国も歩んだ道ではあるもののこの国の特性からして、これまでのそれとはやや趣は異なるものと思われます。

このまま、順調に中国経済が成長するなら、それは杞憂で終わる事でしょうが、一度逆風となれば中国は迷わず変動制への扉を閉ざす事でしょう。勿論それは未来永劫ということでは決して無いのですが。

この事から想定できる事は、いま市場が期待しているようなスピードでの切り上げは無いであろうということでしょう。
確かに国際通貨としての第一歩を踏み出したのですが、これまで先進国が歩んだような軌跡を辿れるか、どうかはまだまだ予断を許さない状況のように思います。



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