TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2005年06月13日
■「視点の置き方」

為替相場は今更ではありますが、2国間の通貨の水準を示します。ドル円ならば、アメリカと日本の景況感の差、金利の差、国家としての安定感(政治的、地政学的等々)。従いまして、「アメリカの景気が上向いている」という根拠だけでドル円が絶対に上昇するという判断は正解とはなり得ません。

相対通貨である円即ち日本の要素はどうであろうかということを当然の如く織り込んで解を求めていかねばなりません。さらには当事国通貨同士だけではなく世界各国の通貨と両通貨との関係はどうなっているのかといったところまで見渡す必要があります。ある通貨ペアだけが突出した値動きを見せたとしても、他の通貨がこの動きへの反応が鈍ければたちまちこのギャップを見て取った参加者はこのギャップを利用して利鞘を稼ぎに動き出すのです。

ある人が、幼い頃父親から将棋を教わった時、盤上の一点を見つめて考え込んでいたら、「将棋盤の全体を見渡しなさい」と言われたそうです。そこで、今度は盤面全体を見ようとキョロヨキョロしたら「集中力が足りない」と言われたそうです。「おいおいどっちなんだよ」と子供心に思ったそうですが、なるほどこの両者のバランスが大事なのだと後になって思えるようになったそうです。

何も将棋に限った事ではなく、世の中を見るには大事な心構えであることは皆さんも良くご存知のことと思います。為替相場もまたしかりです。

記事として我々が目にするものはどうしても一方の材料に偏りがちです。なぜならその方向に相場が動いたのでその理由を解説しようとするからであります。
事実相場が動いたのですから間違いではありませんし、また流れに乗れなければ収益機会を逃してしまいます。しかし、将棋盤全体を見渡しておかなければ結果的には王さまを取られて負けてしまう事にもなります。

いま、隣国同士で自国の主張ばかりを言い合っている国がありますよね。まあ、政治的な駆け引きもあってのことでしょうが、もう少し全体を見渡す余裕があれば違った関係が築けるんじゃあないでしょうかね。



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved