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2005年05月30日
■「I too will be looking for a job.」
15日ペンシルベニア大学ウォートンスクールでの講演でグリーンスパンFRB議長が自らの退任が近いことを表明しました。79歳という高齢から既に来年1月のFRB理事の任期切れか、議長の任期となる2008年6月辺りをXデーとしていた識者は多かったわけですが、こうして本人の口から退任が示唆されるとさすがにショックは大きいです。
彼が議長に就任したのは1987年、私はまだ学生でした。前任は「インフレファイター」の異名を持つボルカー氏。ボルカー氏も市場の信任厚い名議長であり交代直後のグリーンスパン議長への評判は今からは想像出来ないほど低かったようです。
評判の高い人物の後任というものは誰であってもそんなものなのでしょう。恐らく今回の後任の方も市場の信任を取り付けるまでは暫く時間が必要となるでしょう。
グリーンスパン議長が97年10月のブラックマンデーを乗り切ってその信任を勝ち得たように、実績を示す必要があるのでしょう。
しかし、今回の講演にしても心憎い。グリーンスパンマジックを賞賛する人は多いようです。前述のように実際に退任を表明するとなると一時的にしろ市場への影響は仕方の無いところです。まして彼ほどの人物なら尚更です。
事実、前任のボルカー氏の時はかなりの動揺があったのですから。これが平日の講演であったらもっと動揺が走ったのではないでしょうか。
某新聞によれば「後継者は難しい時期に金融政策の舵取りを託される」などとコメントしていましたが、前回の任期切れだった昨年6月での交替とどちらが難しい状況であったでしょう?
この一年弱の舵取りはまさにグリーンスパン議長だったからこそ乗り切れたように私は思います。
来年1月で、どこまで穏やかな状態に持ち込めるのかは確かに定かではないでしょうが、自分が引き継いだ時のような嵐の中での交替としない為の神業的な配慮がここにもあるように思うのです。
アメリカの中央銀行の議長となるからにはどんな時期に就いても常に世界経済の激動の舵取りを迫られるでしょう。しかし、グリーンスパン議長のこの配慮を思えば、ボルカー氏からグリーンスパン議長が引き継いだ時がそうであったようにいずれ次期議長も市場の信任を勝ち取ることが出来るものと楽観していいと思っています。
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