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2005年05月09日
■「アジアが熱い」

いま、アジアがホットです。別に嫌味ではありません。日本が国連の常任理事国への意欲を見せ、それが現実味を帯び始めた辺りが、事の発端といえるでしょう。韓国、中国が領土問題、歴史問題をネタにして、この動きを牽制し始め、中国では先のサッカーアジアカップから燻っていた民衆のデモ騒ぎにまで火を付けてしまいました。

中国でのこのデモ騒ぎがあまりに大規模であったために、中国当局もかなり慌てて沈静化のための手を打っているようです。この騒動のお陰でマスコミの扱いはすっかり反日運動にすりかわってしまい、2つの点でミスリードを起こしているように思います。

1点目はデモ騒ぎのお陰で、韓中の主張の主題が歴史問題に摩り替わり、またぞろお詫び行脚と戦後保障の追加といった点に軸足が動いてしまった点。2点目は韓中を比較して強くアジっているのは中国のように見せられていること。

そもそもこの問題の発端は日本の国連常任理事国への動きであります。ご存知のとおり現在の常任理事国は中国を除けば全て欧米諸国がその椅子を独占しており、明らかに世界の地域バランスを欠いたキャスティングとなっています。国連発足時のバランスを考えれば致し方の無いところではありますが、60年を経た今となってはこの状態は欧米偏重の象徴的存在と言わざるを得ないでしょう。故に国連も常任理事国の追加に動きを見せ始めた。

ワールドカップの予選ではありませんが、恐らくアジアの残された椅子はあと一つ。日本が当確とも思えるコメントが事務総長から出てしまってはその椅子を狙う他国としてみれば「ちょっと待った」と言いたくもなるでしょう。この椅子にはこの先当面のアジアの盟主としての地位がかかっているのです。

この意味において、既に常任理事国たる中国よりも韓国の方が遥かに真剣にアジっていると言うべきです。さらにこのアジはアジアの盟主としての椅子をかけた政治的駆け引きです。歴史問題などは、その道具として担ぎ出されたに過ぎないと思っています。軸足を歴史問題にずらすから日本国内でも「いい加減にしろ」的な感情論が出回りだすわけで、個人的にはマスコミの報道にこそ嫌気が差している今日この頃です。

さらに先週は人民元切り上げ問題で動きがありました。米国議会が中国に強硬措置をチラつかせていたのは既にご存知の通りですが、ホワイトハウスがこの議会対策にコメントを出し始めたまでは「想定の範囲」であったのですが、なんとあのグリーンスパン議長までもがこの問題に関してのコメントを出してしまったので、市場は困惑してしまったといった感じです。

折角3月のFEDのステートメントを足がかりにドル回帰の動きを見せていたところ、4月に入って出てくる指標が?マークだらけ。109円上抜けを失敗したところでもあったものですからクロスカウンター並のインパクトとなったわけです。(また古いネタを出してしまった)

人民元切り上げ自体は、その時期はともかくどこかで必ず実施されると言う点では既に市場は織り込み済みであると思っています。確かにレンジを一段切り下げた格好になりましたが、このネタでこの先のドル安を考えるのは如何なものかと思います。



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