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2005年04月11日
■「グリーンスパンマジック」

先週開かれたFOMCが、相場に影響を与えました。(いつも注目されていますから改めて言うことではないといえばないのですが)25bpの利上げは既に織り込み済み。市場の注目はステートメントの内容に注がれていました。「measured」(利上げのペースは「慎重に」、というニュアンスで使われているそうです)の文字が消えるのか否か。この文字は残りましたが、残しながら同様のインパクトを「インフレ懸念を強めている」との言葉で与えました。明らかにインフレ方向に舵を取り始めることを示唆したのです。

米長期金利が上昇し、為替も各通貨でドルの買戻しが強まりました。FRBの利上げペースが早まるとの憶測もさることながら、為替に関してはこれまで低金利のドルを調達し、高金利国の商品などに投資をしていた動きに影響が出始めたという観測が出始めています。

グリーンスパン議長が、度重なる利上げにも関わらず、長期金利相場がこれについてこない状況に「謎」と言う言葉を使っていました。90年代後半、似たような状況下エマージングマーケットに流れ込んだ資金が逃げ場を失い大混乱を起こしたことはまだ記憶に新しいものと思います。今回のステートメントとグリーンスパン議長の発言で市場はようやく目を覚ましたのかもしれません。実際、今回のステートメントによりすぐにも利上げのペースが早まると考えるのは少し短絡的だと思われます。依然として下ぶれ要因は健在なのですから。しかし、前回逃げ遅れて痛い目を見た経験は前倒しで動かねばという心理を惹起したように思います。

じゃあ、これから先はドルの独歩高なのか?といえばそうは簡単に事が進みません。ドルへの資金回帰が前倒し的に始まった分その勢いは緩やかになりそうです。また双子の赤字をはじめドルを積極的に買い進めるには躊躇される材料は山積していますし、当局としても急激なドル高は歓迎しないところでしょう。

期末要因からレンジを抜け切れず、他通貨に比べてドルの上昇が鈍かったドル円もようやく次のレンジに入ろうと言うところまで来ました。今週後半の指標によってはもう一段ドルの上昇に拍車がかかるやも知れません。しかし、一気に方向転換させるまでには至らないこのもどかしさ。♪決め手がないのよ注意信号♪(古いなあ)

これで、レンジを一段変えただけで推移してしまえば、グリーンスパンマジックは未だ健在という印象だけが強くそして確実な事として残りそうです。



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