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2005年01月10日
■両建て取引について

今週は、両建て取引についての私見を書いて見ます。否定的な文章ですが、使い方によっては完全に否定されるべき取引でも無い事だけは予めお断りしておきます。(ステージを個人の証拠金取引に限るならやはり肯定的にはなれないのですが)

同一通貨ペアの買い持ちと売り持ちを同時に持つことを両建てといいます。 既存のポジションを決済せずに反対のポジションをもつことによってその後の相場の変動による損失の拡大を防ぐことを目的として行います。

自分の立てたシナリオに反して相場が変動した場合に、ポジションを決済すると損失が確定してしまいます。しかし両建てを行えば含み差損をある程度固定させたうえで、相場動向によってはこの損失を取り戻せるチャンスを残すことが出来ます。 ここまで読むと「両建てとはなんて便利なんだ」と思ってしまうでしょう。 しかし、そんな錬金術のような美味い話はそうそうあるわけが無いんです。

先ほど、「両建てにすると含み損をある程度固定させて・・・・」と書きました。ここがミソです。商品先物のように取引限月が決まっていれば反対ポジションを作った時点で含み差損は確定できますが(相場が好転しなければ決済日に確定差損となる)、外為証拠金取引では日々足延ばしをしていますので、決済までの期間が長くなればなるほど売り買いのスワップコストのスプレッド分だけ差損が拡大してしまいます。

更に、両建てをした時のベストシナリオはそれぞれのポジションで利益が出るような相場変動が起こった場合となるでしょうが、一方のポジションを手仕舞った段階でもう一方のポジションは完全にオープンポジションとなります。しかもその時点での相場レベルは両建てをしていた時点よりもさらに不利なレベルであります。ここからこのオープンポジションのコストレベルまで相場が変動すると言うのは神のみぞ知るの世界と言えましょう。

百歩譲って相場が思惑通りの動きをしたとします。結果として現れた投資効果は両建てをした場合も、そうでない場合も同じであります(スワップコスト分だけ実は両建てのほうが損)。むしろ、この取引が完結するまでの相場変動に対して投資行動を起こせなかった分だけ両建ての方がマイナスであると考えるべきではないでしょうか。

「いや、私はその間も別途投資行動はする」と強弁される方、ならばむしろ両建てにして証拠金のポジション枠を狭めていることはご自身の投資行動の範囲を狭めてしまっているとは思いませんか?



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