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2004年11月22日 
■ディーリングルームのお話(4)

そうそう、ディーリングルームというところは他の部署のオフィスと違って部外者立ち入り禁止の密室状態になっています。(最近はセキュリティーがうるさいので他の部署あるいは普通の会社のオフィスでも同様の環境を整えている場合も多いと思いますが)

当局からの指導も含めセキュリティーを万全にしておかねばならないための措置であることは言うまでもありませんが、怒号が飛び交うあの環境を密室状態にしておかなかったら他の部署からうるさいって苦情が殺到したかもしれませんね。まあディーリングルーム内でも騒々しいのは基本的に為替のグループだけなんですけどね。

外国為替市場がインターバンク市場と言われているようにこのマーケットの直接参加者は、銀行です。これは唯一銀行がもつ決済機能が絡んでいるわけで、事業法人、機関投資家から、個人のお客様まで必ず外為の取引は最終的に銀行に取り次がれる形になります。といったお話は各社のHPにてご存知のことと思います。

従って、ディーラーの多くは銀行員であることになるのですが、どちらかというと銀行員という意識が希薄です。邦銀ではあまり感じることではありませんし、むしろ銀行員であるよう教育もされますが、外資系の銀行ではこの区別が明確に感じられたように思います。

ディーリング発祥の地ロンドンでは今もその素地が色濃く残っているそうですが、この世界は完全に徒弟制度の世界なのです。

ロンドンの金融街シティーではディーラーとなる最初のステップはディーリングルームでのコーヒーボーイから始まるなんて話も聞いたことがあります。まさに丁稚奉公からはじまる世界なんだなあという感想を持った記憶があります。

アシスタントとしてディーリングルームに入った私に、先輩達は「アシスタントは奴隷みたいなものだけど、この下積みがディーラーになって活きてくる」と話してくれました。
そう、自分でポジションを持つ前に市場のダイナミズムを体感でき、その怖さも感じることが出来るのです。

教育の世界で奴隷のような仕事なんて聞いたら教育委員会がすっ飛んできそうですが、職人さんの世界がそうであるように、ディーリングの世界にもこの制度って必要なんだなあと思いました。

またそうした下積みの経験が後からやってくるアシスタントへの気遣いにも現れてきます。


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