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2004年11月8日 
■ディーリングルームのお話(2)

カバーディールのために一つの銀行でこうして複数の銀行を呼び出すことが恒常的に繰り返されるわけです。当然他の銀行でも同様ですから瞬時にして自分たちのロイターシステムにも無数の銀行の呼び出しで溢れかえりますし、電話も引っ切り無しに鳴り始めます。大きな相場になると、この喧騒の波が断続的に続きます。

ある先輩からの聞きかじりですが、朝の8時半ごろから前場(当時は為替市場にも前場後場があった)が引けるまで、カバーを呼び続け、他行の呼び出しにプライスを出し続けたなんて事もあったそうです。

このようにして各銀行からひっきりなしにプライスを出し、またお客さんにもプライスを出していると自分のポジションがロングなのかショートなのかすらわからなくなってしまうのでは?という素朴な疑問が湧いて来ませんでしょうか?

ディーラーしている人全てが暗算の段持ちだったりするわけじゃあありませんからね。
電子ブローキングシステムのオートフィードも無かった時代、こうして叩きあいをしたポジションの入力は専らアシスタントが逐次入力オペレーションをこなし、ディーラーが自分のディーリングシートと照合していく作業をしていました。

不思議なことに、入力がひと段落して現在のポジションが出たときディーラーの身体で感じていたポジションとの間に大きな乖離があるような場合ほぼ間違いなく正しいのはディーラーの認識しているポジションなのです。

「プロなんだから当然でしょう」と言ってしまえばそれまでの話ではあります。またそうでなければ銀行の看板をしょってディーラーとしてプライスのクォートなど出来ないわけでして、全く正論です。
ポジションが正確に把握出来ていなければ自分のロスカットリミットすら把握出来ないことに繋がるのですから。

さて、では個人投資家として外国為替市場に参加している皆さん、皆さんはご自分のポジションとロスカットリミットをしっかりと把握できているでしょうか?

来週はそんな事を今更ながら書いてみたいと思います。


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