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2004年10月18日 
■体力(証拠金残高)について考える(2)

7回にわたって続けてきたテーマも今回が最終回となります。前回に続き体力について考えると同時に、この体力の源となる証拠金とりわけ追加証拠金にかんして、かなり個人的な意見を書いてみたいと思います。

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」孫子の兵法の一説ですが、正に投資とは市場を相手にした戦いであります。市場についてよく調べ、自身の投資資金限度をしっかりと把握することが大切なのです。そうすることによって、それに見合ったシナリオ(戦略)が自然と見えてくるようになることでしょう。

さて、証拠金です。ご存知の通り外国為替の証拠金取引においては、商品先物取引とは違い追加証拠金制度ではなく、強制決済制度を採用している場合が殆どであります。追加証拠金の世界に慣れ親しんだ方にとってはなんとも扱いにくい制度のように感じることでしょう。ここでは詳細は控えますが、扱う商品の性格上商品先物では追加証拠金制度が優れているように、外国為替取引においてはこの強制決済制度の方がより投資家保護に資する制度であるといえるでしょう。

そんな外国為替取引において、証拠金を逐次投入する(追証)戦法は太平洋戦争の日本海軍と同じ戦法と言う事が出来るでしょう。戦略なき戦法とでも申しましょうか。戦う相手の体力が自分と同等またはそれよりも劣るというならばこの戦法はある意味効果的かも知れません。しかし、当時の日本海軍の相手は圧倒的な物量を誇るアメリカ軍。そして外為証拠金取引における相手は世界最大の取引量を誇る外国為替市場であります。

戦力の逐次投入がいかに無力であるかはご想像いただけるものと思われます。更にこれは折角シナリオを作ることで万が一の損失を限定的なものとしてきたにも関わらず最後の最後で、損失の拡大と先送りを容認してしまう行為であります。

全く追証の実用性を否定するものでは決してありませんが、ほいほいと安易に行使すべき戦法ではありませんし、ここに逃げ道を見出し続けるならば、そもそも当初の目的であった自己資産の効率的運用自体を達成することは非常に困難なものとなるでしょう。


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